フォトンマッピング〜原理

ペットマト プチトマト

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フォトンマッピングは、H.W.Jensen という人によって、95年とか96年頃に発表された、新しいレイトレーシング法の一種である。古典的なレイトレーシング法では不可能とされていた広域照明の再現を可能とした。広域照明の再現手法については、それまでは各種のモンテカルロレイトレーシングや、ラジオシティが代表的だった。しかし、前者はどうしても膨大な計算時間がかかることや、画像のノイズ除去が本質的に難しいことがあり、また、後者はレイトレーシングが得意とするような、光線の反射する様の厳密な表現が苦手で、また描画対象モデル表面の細分化を必要とし、モデルの幾何形状の複雑さにその効率が左右されるといった欠点があった。フォトンマッピングは、広域照明の実現を果敢にも目指したこれら手法の欠点を、補ってあまりある、待望の新しいレンダリング手法だった(そして今もたぶんそう)のである。レンズの集光模様や、コースティクスなどが表現できるところが、誰もがレンダラー作成意欲をそそられてしまうほどなのである。
フォトンマッピング法では、大雑把に言って、フォトンマップ作成フェーズと、レンダリングフェーズの二つのフェーズに分けて計算を行う。
まずフォトンマップ作成フェーズでは、光源からいくつもの(数千、数万以上)仮想粒子を放出させ、シーン内モデルとの交錯を計算していく。モデルと交錯した仮想粒子は、パス(経路)レイトレーシング法よろしく、表面材質の特性を考慮しつつ、確率論的に、反射をしたり、その場で吸収されてみたり、透過・屈折したりして、シーン内にばらまかれる。フォトンマッピング法ではこの仮想粒子をフォトンと呼ぶ。そうしてシーン内の、フォトンが吸収された各点の座標の全記録を、「フォトンマップ」と呼ぶ。
次にレンダリングフェーズでは、作成されたフォトンマップを使って、普通の逆光線追跡法レイトレーシングを行うが、その際、視線が交錯を起こした物体表面の明るさを決定する際には、その交錯点の近傍にあるフォトンの分布から、フォトンの分布密度を求め、それに見合った明るさを決定する。この、視線と物体の各交錯点におけるフォトン密度計算の効率が、重要な鍵となってくるのであり、kd-tree に代表されるような、効率的な空間分割手法が必要とされる。アイデアとして、最低限細分割されたポリゴンメッシュモデルについて、各ポリゴン間の隣接情報などを予め構築しておいたものを、そのまま利用することも考えられる。
フォトンマッピング―実写に迫るコンピュータグラフィックス

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空の色と光の図鑑

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